先月は、友人が亡くなったり、筆者のお客様の息子さんが亡くなったりと、葬式に3件も行きました。年を重ねるごとに「葬式に行く回数が増え」ますね。今回のテーマは『グリーフケア』です。不動産屋をやっていると、冠婚葬祭をうまくこなす必要が出てきますが、特に、不動産投資には「葬」が重要になってきます。
不動産投資の「成功」について過去にブログ記事を書きました。
不動産投資にとっては「葬」は、不動産購入の機会でもあります。
【グリーフケア】とは? グリーフケアアドバイザーになるには!
「グリーフケア」という言葉が一般的ではないので、この説明から始めたいと思います。
グリーフケアとは、親族や家族、友人など親しい人との死別を体験してしまい、悲嘆の日々を過ごしている人に寄り添い世話をすることで、その深い悲しみから立ち直させることです。
グリーフケアのグリーフとは、英語のGriefでその意味は「悲嘆」です。またケアとは、英語のCareでその意味は「世話」です。
英語名で表現すると「専門職」のように感じますが、ほとんどの場合、以下のような人たちが「グリーフケア」を行なっています。
実際にグリーフケアを行なっている人たちは、以下のような「グリーフケア」を行なっているものと思われます。
・家族、親族、遺族 ・友人、知人 ・医療関係者、精神科医、カウンセラー ・宗教家 ・葬儀関係者 ・公的機関 ・不動産屋 ・その他、傾聴ボランティア等
グリーフケアの資格を取得している人もいる!!
上記のうち専門家や葬儀関係者などの中には、より高度なグリーフケアを提供してひとりでも多くの人を悲嘆から救いたいとのことで、『グリーフケアの資格』を取得している人もいます。
その資格には、主に以下の2つがあるそうです。
【資格その1】グリーフケア・アドバイザー
この資格はグリーフ・カウンセリング・センターで取得できます。詳しくは直接お尋ねください。
【資格その2】グリーフ・カウンセラー
この資格は日本グリーフケア協会で取得できます。詳しくは直接お尋ねください。
グリーフケアが必要な症状とは?!
気の落ち込みとグリーフケアが必要となる症状との区別は難しいのですが、一般的には次の3つの症状が表われたら「グリーフケア」を受けるべきと言われています。
【情動的症状】:激しい悲しみ、怒り、抑うつ、不安、無気力感、罪悪感、孤独感など 【身体的症状】:睡眠障害や食欲減退、疲労感など 【行動的症状】:混乱・動揺、集中力の低下、探索行動など
これらの症状が表れているにも関わらず、何かしらの処置や対策をせずに、そのままにしておくと、最悪の場合 次のような疾患的症状になる可能性もあります。
うつ病性障害、外傷ストレス障害(PTSD)、不安障害など
悲嘆から立ち直るための4つのプロセス
身近な人との死別による悲しみの日々から日常生活を取り戻すまでのプロセスには、以下の4つがあるとされています。
【プロセスその1】 無感覚になる
身近な人との死別が、あまりにも大きなショックであるため、はっきりした反応もなく現実感を喪失する状態です。
【プロセスその2】 感情が不安定になる
「身近な人の死」を現実と受け入れようとしますが、まだ受け止めることができず、感情の入れ替わりが激しい状態となります。
【プロセスその3】無気力になる
ようやく「死」を受け入れたことで、自分の人生に価値観や日常生活に意味が見い出すことができなくなり、無気力な状態になります。
【プロセスその4】 活動的になる
身近な人の死を受け入れて乗り越えることができます。新たな自分として積極的に他人や社会と関われるように活動できる状態になります。
グリーフケアを行なう際の重要点とは?!
実際にグリーフケアを有効的に行なうのに、重要な4つのポイントです。
悲しむことを肯定する
「グリーフケア」を行う際、最初にこの悲嘆という感情は、人として自然なものであることを示して、すべてを肯定することから始めましょう。
悲嘆を表現させる
故人についての思い出話をしてもらったりして、遺族に「表現」してもらうのが最も一般的な方法です。
儀式を利用する
葬儀やお別れ会、偲ぶ会などの儀式は故人の「死」を受け入れるきっかけをつくります。
専門家や団体に相談する
自分や家族、友人だけでキチンとグリーフケアができない場合はグリーフケアの専門家や団体に相談することができます。
まとめ:グリーフケアには「初期仏教的」な考え方が効果的!!
仏教においては「死生観」が特に重視されています。初期仏教などの教えの中に「子どもを亡くした母親の話」が出てきます。
お釈迦さまの在世中、キサーゴータミー(Kisâ Gotam])という名の母親がいました。
自分の子供が死んだとき「どうして私の子が死んだのか」と、自分の不幸を嘆きました。「なぜ私だけこんなに苦しい目に遭わなければならないのか。これはおかしい。薬を見つけて子供を治さなければならない」と考えて、子供の遺体を抱いたまま、あちこち薬を探し回りました。そのときお釈迦さまに出会ったのです。キサーゴータミーがお釈迦さまに、「どうかこの子を治してください」とお願いしたところ、お釈迦さまはこう言いました。「わかりました、治してあげましょう」と。普通なら「死んだ人が生き返るはずがない」とか「いい加減にしないか」「頭がおかしいんじゃないか」「精神科に行きなさい」などと言うでしょう。お釈迦さまはまったく違う態度をとられ、「娘さん、治してあげます」と言われたのです。キサーゴータミーは「これで私の苦しみが治る」と大変喜びました。お釈迦さまは「では、マスタードをほんの少し持ってきてください」と言いました。マスタードはインドにはどこにでもあるもので、料理にも薬にも使いますから手に入れるのは簡単です。キサーゴータミーは、これで子供が生き返ると思い「すぐに持ってきます」と探しに出かけようとしたところ、お釈迦さまは「ちょっと待ってください。マスタードを、人が死んでいない家庭からもらってきてください」とおっしゃるのです。そこでキサーゴータミーは人が死んでいない家庭を探しました。しかしどこの家に行っても死人を出したことのない家庭などありません。いくら探しても見つからず、ようやくキサーゴータミーは「これは私だけの苦しみではない。生まれた者はみんな死ぬ」という真理に気づいたのです。
この話は上記のサイトからの一部転載です。初期仏教は宗教的な要素が少なく、方法論や哲学的なものを参考にして、「心を整えること」ができます。
最後に・・・、不動産投資の際に「葬」は、相続に関する事案につながることがあります。
つきあいが長い方の身近な人が亡くなったとき、「グリーフケア」を含めて寄り添うことができたら・・・、信頼を得ることができます。これらを“仕事や業務”という感覚ではなく、自然な慈悲の心で実践することができた時、不動産屋としての信頼も勝ち取ることができるかと思います!!