M-1グランプリの2006年王者『チュートリアル』の徳井義実徳井義実(44)さんが、税務の「申告漏れ」を東京国税局に指摘され、追徴課税等を支払った上で「記者会見」をしました。今回は「税務申告」について、事例を交えて説明したいと思います。
皆さま、こんにちは。M-1史上完全優勝した「チュートリアル」の徳井さんの件にショックを受けています。
【徳井さん】記者会見で『想像を絶するルーズさ!!』と自らを弁解!!
徳井さんの記者会見はネットニュースでも全部が報道されていましたので、これを転載しておきます。
記者会見では、徳井さんは『想像を絶するルーズさ、だらしなさ』と自らを振り返り弁解しましたが、この〝言葉選び〟は、さすが一流お笑い芸人だと思いました。
【徳井さん】のケースの事実関係は?! 報道ベースながら・・・
報道ベースで今回の件をまとめてみました。
徳井さんは設立した個人事務所「㈱チューリップ」(東京都世田谷区)が2018年3月期までの7年間で約1億2千万円の申告漏れを東京国税局より指摘されました。追徴課税は約3,400万円、修正申告をして納付済みです。
【徳井さんが東京国税局から指摘された問題について】 ■2011年~2015年3月期:約2,000万円の所得隠し(旅行、洋服代等) ■2016年~2018年3月期:所得1億円を申告漏れ(無申告)
【徳井さん】吉本興業と契約しているも「会社設立」をしていた?!
個人事業主が「法人成り」して会社を設立することは悪いことでしょうか?!
これは、法人としての「実体」があれば問題ナシでしょう。特に、高額所得者においては、よくある「節税手法」ですね。
ある一定金額の収入を超えた場合は、「法人にした場合の税率」が安くなります。
【所得税(個人)の計算について】
課税所得金額 税率 控除額
■1,000円~1,949,000円まで 5% 0円
■1,950,000円~3,299,000円まで 10% 97,500円
■3,300,000円~ 6,949,000円まで 20% 427,500円
■6,950,000円~8,999,000円まで 23% 636,000円
■9,000,000円~17,999,000円まで 33% 1,536,000円
■18,000,000円~39,999,000円まで 40% 2,796,000円
■40,000,000円以上 45% 4,796,000円課税所得金額に所得税の税率を適用し、所得税額を算出します。所得税額は、「令和元年分所得税の税額表」で求めます。
国税庁HPから転載
このほかにも、住民税10%(一律)+復興特別所得税(税額の2.1%)、さらに「社会保険料」(健康保険+厚生年金などで約15%)もかかってきます。
一方で法人税(会社)の計算は・・・
収益ー経費=利益 これに「申告調整」して課税所得となり、 課税所得×法人税率=法人課税 課税所得800万円まで × 15% 課税所得800万円超 × 23.2%
これらに「法人住民税」「法人事業税等」もあり実行税率は『約25%~35%』くらいです。
税務をめぐる3つのケース【代表的なもの】
税務申告をめぐるさまざまなケースがありますが。代表的なものを挙げて説明したいと思います。
「節税」とはどいうものか?
「節税」は合法な行為であり、税理士はクライアントに対して、経験と知恵を使って「節税方法」を指南します。
主な「節税」はどのようなものがあるでしょうか?!
【個人】税額を直接減額させる=税額控除(住宅ローン控除等) 【法人】収益を非課税とする(受け取り配当金の損金不参入等) 【経費】を計上する(事前確定給与等)
申告漏れとは?!
これは代表的なものとして以下のようなコトがあります。
・売上計上忘れ・経費の計上ミス等 ・税法の解釈の相違等 ・計算誤りその他各種ケアレスミス等 ・故意・意図的なものではない→脱税ではない
脱税とは?!
最も罪が重い行為は「脱税」ですが、主に以下の2つのケースがほとんどです。
■売上を抜く(計上しない) ■架空の経費を計上する(外注費、給料等)
【脱税】をすることのリスク
脱税をすることで「罰」が与えられますが、所謂、行政処分の『付帯税』です。付帯税は本税以外に科される税金で6種類あります。
■過少申告加算税 ■無申告加算税 ■不納付加算税 ■重加算税 ■延滞税 ■利子税
徳井さんの場合『重加算税等を含めた追徴税額はあわせて約3,400万円』になるとされています。
【節税】が【脱税】に変わるとき?!
合法的な「節税」ですが、やり方次第では簡単に「脱税」に変わるという危険性があります。
過少申告ほ脱罪
「偽りその他不正な行為」により正規の税額を納めなかった場合です。
無申告ほ脱罪
提出期限までに故意に確定申告書を提出せず、納税を免れた場合です。
単純無申告罪
「正当な理由」がないのに提出期限までに確定申告書を提出しなかった場合です。
まとめ:徳井さんはアウト!! 芸能活動の「短期自粛」が妥当かも?!
徳井さんは「1回だけでなく3回にもわたる無申告」です。
確定申告をしない「正当な理由」としては、重い病気やケガで長期入院をしていたとか、災害に遇ったという事情が挙げられます。
一方で、徳井さんは税理士から資料提供を催促され、確定申告を〝先延ばし〟をしていたわけです。これが「正当な理由」に当たらないことは明白です。
この点で、徳井さんは「完全にアウト」でしょうね。その理由が『自らがルーズ、怠慢で・・・』という〝説明〟をしているのですが、これは徳井さん流の〝最大の言葉選び〟だったのでしょうかね?!
徳井さんの件は、有名・著名人にとっては他人事ではないです。『天網恢恢祖にしてもらさず』を改めて認識してほしいと思います。
個人事業主、法人問わず、税理士と契約することは重要です。
今回も記事を最後までお読みいただき心より感謝しております。