筆者は「知的財産権」の戦略はかなり勉強しました。あるJリーグクラブで働いている時に『商標登録』の問題で、チーム名を変更せざるを得なかった経験があるからです。今回のブログ記事のテーマは『キャラクターの資産を考える』です。トップ写真は「ふなっしー」ですが、コレは特許庁の電子図書館に登録されている商標権の公示からの転載です。ふなっしーは公の機関の証明写真にも「片足上げキメポーズ」で写っているんですね。ちょっと笑えましたか? ふなっしー、カワイイ!!
【キャラクター】は資産!価値を守るための「法的戦略」紹介!!
皆さまは、キャラクターを言えば・・・、アニメや漫画の主人公? それとも「くまモン」「ふなっしー」等のご当地キャラとか、思い浮かべるのではないでしょうか? 実は、キャラクターをちゃんとした【資産に変える!!】ためには、法的な根拠が必要です!
【キャラクター】の資産は他人からの権利侵害から守る!!
基本的な構図ですが、キャラクターはそのものが経済活動を行う場合が多く、これを【資産に変える!!】べくするためには、他人からの権利侵害から守る必要性があります。
まずは、どのような法律を使うべきかを考えてみます。
【意外?!】キャラクターに著作権はない
「キャラクター」の代表格「ふなっしー」で考えます。
テレビやイベントで活躍していた「ふなっしー」は、人間と同じように歩いたり、走ったり、横になったり、座ったり、自由自在に動くものであり、一つの固定されたイメージではありませんよね。
こうした「ふなっしー」のことを人々が頭の中で想い浮かべる“イメージそのもの”には著作権はありません。
一方で、オリジナルのキャラクターが描かれた「原画」だとか、「イラスト」はそれが著作物であり、著作権により保護されているので、これを『勝手にコピーしてはいけない・・・』というのが著作権法上の建前です。
しかしながら、それぞれのキャラクターの名前は、著作権では保護されません。キャラクターのネーミングは、著作権法上の著作物には当てはまらないからです。
【著作権法メモ】 ・著作物とか著作者の権利を保護する法律 ・考案されたキャラクターの原画、イラストが著作権法で定める著作物 ・著作権の発生は、審査とか登録とかの認証手続は一切不要 ・著作物の完成に伴って著作権が発生する ・権利の発生に関して条件の要求がない法律上の制度(無方式主義) ・他の著作物を盗用した事実がなければ、他の著作物の存在の有無は一切考慮なし
【著作権】は手間と金額がかからない
著作権によりキャラクターを保護する場合、特段権利発生について認証作業が要求されないことから、手間と金額を要しないメリットがあります。
【著作権】は権利行使が難しい
著作権は、他人がこちらの著作権を侵害したとする場合には、「相手側がこちらの著作権を侵害したこと」を著作者本人が立証しなければなりません。仮に、相手側が「あなたの著作物であることを知らなかった」と主張した場合には、著作者側「相手がこちらの著作物を知っていたことを証明する」必要があります。
これは、かなりのハードルの高さです。
なので、著作権の場合は権利が簡単に発生するメリットがある一方で、権利行使が難しいデメリットがあります。
【キャラクターを資産に変える!!】的には「商標登録」を!!
商標は『文字、図形等で構成されるもの』です。ですから、もちろんキャラクター画像も商標として認められます。著作権の場合と異なり、商標登録の場合は特許庁に権利申請し、審査を経て特許庁で登録されるのを前提として商標権が発生します。
審査を経て登録されるので「抵触する範囲」では似たような他の商標は後から登録はされません。また、第三者が『商標権のあるキャラクターを知らない場合』でも商標侵害の事実があれば権利行使ができます。
つまり、このように「商標権」は強い排他性を持っているので『商標権は絶対権』と呼ばれます。
商標登録が裁判の証明に
キャラクターの盗用問題が発生した場合、「著作権」で相手側と争うのは困難です。
これに対して、商標登録の場合はキャラクター画像の作品は、いつ創作されたかは「商標登録の出願日以前にされたことは明確」ですから、商標登録さえしておけば、どちらがオリジナルのキャラクター画像を創作したかについて争うトラブルを解決することができます。
オリジナルの証明
「ふなっしー」のような有名なキャラクターを模倣盗用したキャラクターは審査に合格できません。審査を受けていない「著作権」に比べてオリジナルの証明が簡単です。
無断使用禁止
キャラクターに対して商標権が得られると、許可を得ていない者は勝手にそのキャラクターの登録商標を使用できなくなります。
商標登録された場合、「登録商標を知らない人」「商標権があることを知らない人」に対しても権利侵害があれば商標権を行使して差止請求や損害賠償請求も可能となります。
ですから、トップ写真の「ふなっしー」のように商標登録をしているキャラクターを第三者が勝手に使うことは、大きなリスクとなるのです。
キャラクターの商標登録の方法
通常の場合は、専門家の「弁理士」に依頼するの簡単です。
商標の登録については、一般の方もやることできますが、特許庁からの「拒否」の通知が届いたときの対応とか、修正を言われた際とか、“すんなりいかないこと”も多いため、とっくんが所属していた財団(企業支援マネージャー)では、重要な案件については「弁理士を活用すること」をアドバイスしていました。
商標登録の際には、戦略の一つとして、商品に最もよく表示するポーズを代表ポーズとして決めます。これをキャラクターデザインの基本として商標登録します。なので、ふなっしーがキメポーズで商標登録しているのは“ウケ狙い”ではないのです。
キャラクターを【資産に変える!!】その他の法律
キャラクターは商標権や著作権により保護されますが、それ以外の法律でも保護されます。
意匠法
意匠法は、物品のデザインに対する権利です。商標登録の場合と同様、物品のデザインを図面に記載して願書と共に意匠登録出願をします。
意匠権が得られたら、キャラクターのデザインの権利者が誰であるかについて裁判等で証明が容易になります。
不正競争防止法
不正競争防止法は、商品形態を模倣した商品の販売を罰する法律です。いわゆるデッドコピーされた場合に有効にこの法律が働きます。
まとめ:キャラクター【資産に変える!!】は知的財産権を戦略的に
ここまで述べたように、キャラクターを【資産に変える!!】には、そのキャラクターが今後、莫大な富をもたらすようなものであると確信がある場合には、最初から商標登録などを考えた方がいいでしょう。
実は、「ふなっしー」は、テレビに出始める前から、商標登録をしていました。
とっくんは、企業支援マネージャーをやっていたときに、「ふなっしー」の権利者の戦略を事例にして、支援するお客様に「商標登録」のことを説明していました。
ふなっしーの“中の人”は、実はものすごく緻密な戦略家でもあると思いますよ。
今回も、ブログ記事を最後までお読みいただき、心より感謝しております。