新型コロナウイルス感染拡大の影響が、住居系の賃貸にも出ているという事例を紹介します。本日、筆者の会社が管理している住居系物件の入居者様から相談の電話がありました。詳しくは書けませんが、新型コロナの影響で給料が下がった。賃料の支払いが厳しいので「給料の前借りをしてでも払います」という内容でした。聞くと『給料ファクタリングを使う』と話していたので、筆者は即座に『止めなさい!!』と申し上げました。(トップ写真は金融庁のサイトから転載)
とっくん社長は、ナゼ「給料前借りサービスをやめろ!」と言ったのですか?
これは「給料ファクタリング」と言います。実際には高利の貸し金になっていることが多くあります。その入居者が給料を前借りをするという軽い気持ちで申し込んだら、大変なことになると伝えました。
【給料ファクタリング】は貸金業【金融庁見解】被害者急増社会問題
現在、給料の債権を買い取るサービスである給料ファクタリングの被害が急増しています。この原因の一つに、利用者側の認識不足があります。
以下は金融庁のサイトからの回答書の転載です。
個人(労働者)が使用者に対して有する賃金債権について、労働者が賃金の支払を受ける前にそれを他に譲渡した場合においても、その支払については労働基準法(昭和22 年法律第 49 号)第 24 条第1項が適用され、使用者は直接労働者に対し賃金を支払わなければならず、したがって、その賃金債権の譲受人は自ら使用者に対してその支払を求めることは許されないとの同法の解釈を前提とすると、照会に係るスキーム(個人(労働者)が使用者に対して有する賃金債権を買い取って金銭を交付し、当該個人を通じて当該債権に係る資金の回収を行うこと。)においては、いかなる場合であっても賃金債権の譲受人が自ら使用者に対してその支払を求めることはできず、賃金債権の譲受人は、常に労働者に対してその支払を求めることとなると考えられる。
そのため、照会に係るスキームにおいては、賃金債権の譲受人から労働者への金銭の交付だけでなく、賃金債権の譲受人による労働者からの資金の回収を含めた資金移転のシステムが構築されているということができ、当該スキームは、経済的に貸付け(金銭の交付と返還の約束が行われているもの。)と同様の機能を有しているものと考えられることから、貸金業法(昭和 58 年法律第 32 号)第2条第1項の「手形の割引、売渡担保その他これらに類する方法」に該当すると考えられる。
したがって、照会に係るスキームを業として行うものは、同項の「貸金業」に該当すると考えられる。【金融庁における一般的な法令解釈に係る書面照会手続(回答書)】から転載
(https://www.fsa.go.jp/common/noact/ippankaitou/kashikin/02b.pdf)
【給料ファクタリングの被害者】~東京地裁に契約無効の提訴
先日のニュースで「業者から金を借りた男女9名が契約が無効だ」として支払額およそ430万円の返還を求め東京地裁に提訴しました。筆者もこのニュースをテレビで見ました。
このニュースでは『給料ファクタリング費者金融から融資を受けることが困難な人をターゲットにし、最大で1,000%を超える違法な高金利で金を貸していた』と報道していました。こうしたことに騙されたら大変なことになります。
給料ファクタリングを契約してしまったら?! ~救済の専門家に相談
筆者が話した入居者様は「給料ファクタリング」の契約を見送ったのですが、仮に、契約をしてしまった人はどのようにすればいいでしょうか?
筆者なりの答えは、救済の専門家に相談することだと思います→給料ファクタリング被害急増中!ご相談は【平柳司法書士事務所】
新型コロナウイルスの感染拡大による経済悪化で、給料ファクタリングを利用しようとする人が増えることでしょう。しっかりと情報を集めて、こうした業者と契約しないことが重要です。
給料ファクタリング被害に悩む方は↓のバナーから説明を読んでください。
まとめ:新型コロナ禍で給料が下がったら?! ~家賃の場合は…!!
給料ファクタリングを利用しようとしている人は、さまざまなことでお金を必要としていることと思います。
もしも、その必要なお金が「家賃の支払い」であれば、『住居確保給付金』という既存の制度を使うことができます。
このほか、実際の給料が減ったならば、緊急小口資金の活用もできるかと思います。筆者もこの制度を使って20万円を借りました。
今回は「給料ファクタリング」という現在、社会問題になっている事象を取り上げました。新型コロナ禍の時代は、情報弱者にとっては大変な不利な状況が生まれる場合があります。
しっかりとした情報を集めて、専門家に早めに相談されることが重要かと思います。