【新型コロナウイルス関連】賃料・家賃の支援策は?【野党法案解説】

不動産
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最近、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、売上や収入が落ちている事業者らの「賃料を減額すべき…」とする議論が拡大しています。筆者は、不動産屋で不動産投資家の立場で、この案件には大変大きな関心を持っています。今回の記事では、現在の国会の動きを交えて、野党が提案した「賃料支援の法律案」について解説します。(トップ写真は、衆議院に議員立法を提出した野党議員)

現在、国会で「賃料支援」のことが議論されているんですよね。今後、どのような支援策が決定されるのでしょうか?

 

とっくん
とっくん

新型コロナウイルスの感染拡大で売上・収入に影響が出ている事業者を「賃料の面で支援する」制度です。ボクの仕事は不動産業で当社も不動産投資をやっているので、この問題は大きな関心を持っています。今回の記事は2020年4月29日現在ということで説明します。

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【新型コロナウイルス関連】賃料・家賃の支援策は【野党法案解説】

本日現在は衆議院に「令和2年度補正予算案」が上程されて審議中ですが、今国会に野党側も議員立法で、独自の「賃料支援」の議案を提出しました(4月28日)。

「中小企業者等の事業用不動産に係る賃料相当額の支払猶予及びその負担軽減に関する法律案」(以下『賃料支援野党案』と言う)というものです。

以下に、衆議院のサイトから同案の要綱を転載します。

中小企業者等の事業用不動産に係る賃料相当額の支払猶予及びその負担軽減に関する法律案要綱

第一 目的                                    (第一条関係)
この法律は、新型コロナウイルス感染症が中小企業者等の事業活動に甚大な影響を及ぼしていることに鑑み、その事業の用に供する不動産に係る賃料についての株式会社日本政策金融公庫(以下「公庫」という。)による代位弁済並びにそれによって得た求償権の適切な行使及び放棄等について定めるとともに、中小企業者等の事業の用に供する不動産に係る賃料の負担を軽減するための補助その他の財政上の措置について定めることにより、中小企業者等が負担することとなる当該賃料に相当する額の支払を猶予し、及びその負担を軽減することを通じて中小企業者等を支援し、もって国民生活及び国民経済の安定に寄与することを目的とすること。

第二 定義                                    (第二条関係)
一 この法律において「中小企業者等」とは、次のいずれかに該当する者をいうこと。
1 中小企業者
2 組合等
3 資本金の額又は出資の総額が政令で定める金額以下の会社その他政令で定める法人
4 常時使用する従業員の数が政令で定める数以下の会社その他政令で定める法人及び個人
5 事業を営んでいない個人であって、新たに事業を開始する具体的な計画を有し、かつ、当該事業の用に供するため不動産の賃貸借契約を新型インフルエンザ等対策特別措置法第三十二条第一項の規定により新型コロナウイルス感染症に係る新型インフルエンザ等緊急事態宣言がされた令和二年四月七日より前に締結し、賃料債務(当該賃料債務に係る賃貸借関係から生じた債務又はその不動産の使用若しくは収益に随伴して必要となる費用に係る債務であって政令で定めるものを含む。以下同じ。)を負担しているもの
6 事業を営んでいない個人であって、新たに会社を設立し、かつ、当該新たに設立される会社が事業を開始する具体的な計画を有するとともに、当該事業の用に供するため不動産の賃貸借契約を5の日より前に締結し、賃料債務を負担しているもの
二 「中小企業者」の定義を置くこと。
第三 中小企業者等が負担する不動産に係る賃料債務の代位弁済            (第三条関係)
一 公庫は、株式会社日本政策金融公庫法第十一条の規定にかかわらず、次の中小企業者等が負担している事業の用に供する不動産に係る賃料債務(新型コロナウイルス感染症が中小企業者等の事業活動に及ぼす影響を勘案して政令で定める期間内に発生するものに限る。)の全部又は一部について、当該中小企業者等の申請に基づき、当該中小企業者等に代わって弁済することができる。
1 新型コロナウイルス感染症の影響による休業等により売上金額が大幅に減少した中小企業者等として政令で定めるもの
2 第二の一5及び6の中小企業者等であって新型コロナウイルス感染症の影響により事業を開始することができないものその他の1の中小企業者等の状況に類する状況にある中小企業者等として政令で定めるもの
二 公庫は、一の弁済によって得た求償権については、社会経済情勢、対象となる中小企業者等の事業の状況その他の事情を考慮して、適切に行使し、又は放棄等をするものとすること。
三 一及び二に定めるもののほか、公庫が中小企業者等に代わってする弁済並びにこれによって得た求償権に係る債務の履行期、支払方法その他その行使及び放棄等に関し必要な事項は、政令で定めること。
第四 株式会社日本政策金融公庫法等の適用                     (第四条関係)
第三により公庫が行う業務に対する株式会社日本政策金融公庫法及び沖縄振興開発金融公庫法の適用に関し、必要な読替規定を置くこと。
第五 賃料負担軽減のための補助その他の財政上の措置                (第五条関係)
第三及び第四に定めるもののほか、国は、中小企業者等の事業の用に供する不動産に係る賃料の負担を軽減するため、又は地方公共団体が行う取組を支援するため、当該不動産に係る賃貸人が当該中小企業者等の賃料債務を減額した場合において当該賃料債務の減額分の一部を補助する等必要な財政上の措置を講ずるものとすること。
第六 施行期日                                   (附則関係)
この法律は、公布の日から起算して一月を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。

 

個人的な感想として、今回の『賃料支援野党案』は優秀です。簡単にポイントをまとめますと…

・政府系金融機関の日本政策金融公庫が直接賃料を肩代わりする
・テナント(入居者)は1年後をメドに日本政策金融公庫に返済する
・返済が難しい場合は支払い免除などを講じる

 

自社の法人番号などはネットで調べることができます。月次決算や試算表などを作成している企業は、かなり簡単に入力することができるかと思います。

 

 

【新型コロナウイルス関連】賃料支援策について政府の考え方は?!

これに対して、政府の考え方を見てみたいと思います。

 

『賃料支援野党案』に対して、政府・与党側はどのような案を考えているのでしょうか?

 

とっくん
とっくん

4月28日に自民党の質問に対して、政府側は①賃料減額した不動産所有者に固定資産税等の減免②持続化給付金などを活用③コロナ関連融資制度を活用―などの見方を示しました。

 

審議をしている国会において、党側の質問に対して行政機関の長である安倍晋三総理が、ある程度の方向性を示しました。

ただし、今回の「令和2年度の補正予算案」については、この賃料支援の内容が盛り込まれていないので、“二の矢の支援策”ということで考えているようです。

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まとめ:「賃料支援」は時間との勝負!! ~経済悪化にしないため!

今回の記事は流動的なので、この後どのような法案が可決されるか?!は分かりません。現時点で、与野党とも新型コロナ禍を克服するという“思い”は共通していますが、その手法に違いがあります。

筆者の感想としては、今回は『野党案が優れている!』と思っていて、野党5党が提出した『賃料支援野党案』を与党側も支持して、できるだけ早く可決することを願っています。

 

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