注文住宅で家を建てたいとお考えの方が最初に関心を寄せるのは『注文住宅の値段』かと思います。注文住宅の値段というのは存在するのでしょうか?
わが国には、全国規模で営業展開している大手ハウスメーカーのほか、地方ごとに営業展開をしている中堅ハウスメーカー、小規模の工務店、建売販売を中心のローコスト住宅メーカーなどが存在します。
注文住宅と建売住宅では、ハウスメーカーのジャンルが異なるんでしょうか?
そうですね。過去記事でも書いてきましたが、注文住宅と建売住宅は営業・販売手法が異なりますので、住宅の値段だけを単純に比較することは難しいです。
「注文住宅の値段」って、最初から決まっているものなのでしょうか?
住宅は、自動車の価格のように「定価」というのが決められないところがあります。土地ごとに家を建てる条件が異なるからです。
皆さまが家を建てる際には、「注文住宅の値段」としては標準工事費に含まれるものとそうでないものに分けて考える必要があります。
注文住宅の「標準工事費総額」に含まれているもの(主なもの)
- 仮設工事費用
- 現場管理費用
- 屋内外給排水工事費用
- 電気工事、ガス工事
- 地盤調査費用
- 諸経費
このような「標準工事費」は、ハウスメーカーごとの基準が違う場合がありますが、上記のような内容を基本情報として把握しておけばよいでしょう。
注文住宅の「標準工事費用」の項目をあらかじめ決めて公開しているハウスメーカーの場合は『階数と建物面積』で、大体の値段が分かります。
注文住宅の値段でハウスメーカーランキングがあるの?
住宅が他の商品と異なるのは「定価」というのが分かりにくい点かもしれませんね。多くの人にとって「家は一生に一度の買い物」となるでしょう。
「一生に一度」ではないにしても、家は自動車のように何度も買い替えるという商品ではありません。
そう考えると、家を買うことで「失敗」は避けたいというのが皆さまの本心でしょう。このブログサイトでは「失敗しない不動産購入法」などについても書いてきました。
自動車同様、住宅も「ハウスメーカー」というブランド会社があります。このハウスメーカーには値段のランキングがあるのでしょうか?
ハウスメーカーの値段ランキングは参考にすべきか⁈
ところで、ネット上では、注文住宅の価格帯を「ハウスメーカーごとの値段の相場ランキング」にしている記事を見かけることがあります。
ハウスメーカーの値段ランキングは参考にすべきでしょうか?
参考にすべき点もありますが、参考にならない点もあります。その理由の一つに、皆さまのお住いの地域でのハウスメーカーの市場性、土地の性質の違い、ハウスメーカーの工法などの要素が異なり、「値段のランキング」を記事で調べたとしても、実情に合わないことが多いのです。
筆者の体験で言えば、ハウスメーカーの価格ランキング記事はあまり当てにならないので、無料見積もりサイトを活用した方がより正確な情報を得ることができると思います。
ランキング記事の不確かな情報よりは、はるかに質が高い情報です。その理由は、個々の土地に応じた見積もりをしてくれるからです。
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「無料見積もり依頼サイト」では、以下のような情報を入力します。
- エリア(住宅を建築したい場所)
- 希望世帯(一世帯住宅、二世帯住宅、店舗併用住宅)
- 家の階数の希望(平屋、2階建て、3階建て)
- 家族構成
- 希望する間取り
- 土地の大きさ(すでに所有している場合)
最低限、以上のような「情報」を入力します。
無料一括見積もりサイトでは「個人情報」も入力する⁈
家に関する「希望」などの情報を入力した後は、次に、皆さまの「個人情報」を入力します。
- 氏名
- 連絡先(住所)
- 世帯年収
- 勤続年数
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注文住宅の標準工事費用に含まれないものがある!
冒頭で「標準工事費用」の項目について説明しましたが、これらの費用に含まれないものがあります。どのようなものがあるでしょうか⁈ 以下に例を上げます。
- 解体費用(土地の上に古家などがある場合)
- 整地工事費用(家を建てる前に必要な整地にかかる工事)
- 地盤改良工事(軟弱地盤などでハウスメーカー指定の場合がある)
- 給排水引き込み工事費用
- 外構工事費用
- 空調工事費用
- インテリア費用
標準工事費用以外で、どうして「注文住宅の値段」に含まれないものがあるんでしょうか?
「家」の工事に関する考え方は…、
①工事の前にやっておくべきもの
②オプション工事のようなもの…を除いています。
例えば「地盤改良工事」などは、地域によって土地の軟弱性が異なりますし、ハウスメーカー側の「建築するための地盤の基準」が異なるので、標準工事費用ではありません。
地盤改良工事に関しては、筆者の会社で「注文住宅を建築」した際のことを記事にしたことがありありますので、詳しくはこの記事を参照してください。
注文住宅の値段に地盤改良工事費用が含まれない理由は⁈
地盤改良工事の必要性は、ハウスメーカー側が独自の基準を持っていることが多いです。これについは、多額の費用を必要とする場合があるため、そのハウスメーカーがどのような基準を持っているかを積極的に尋ねてみましょう。
地盤改良工事は、家を建てる際に必ず必要なのでしょうか?
ハウスメーカーによっては、指定の地盤改良工事の基準を持っているところがあります。平成21年10月1日より施行された『住宅瑕疵担保履行法』がきっかけけです。住宅の品質を確保するための法律ですが「地盤」に関しては、この法律の対象外になる可能性があり、独自の保証制度が生まれました。
住宅瑕疵担保履行法の施行によって「住宅のリスク」を目に見える形で保証する必要が出てきました。注文住宅で実際に必要となってくるコストについて、ハウスメーカーごとの違いを含めて把握するようにしましょう。
Q 保険法人指定の地盤調査会社や地盤改良会社を利用しなければ、保険に加入できないのですか。また、地盤保証制度にも加入しなければならないのですか。
A そのようなことはありません。保険申し込みの際の地盤の状況については、保険法人の設計・施工基準に基づき、施工者または売主自らが実施する現地確認や地盤調査の結果、問題がないという結果が出れば、地盤改良等を行う必要はありません。なお、地盤保証制度はまったく任意の制度であり、瑕疵担保履行法に基づく保険契約への加入のための条件ではありません。
(国土交通省「住宅瑕疵担保ポータルサイト」からの引用・転載)
…とは言うものの、ハウスメーカー側にしてみれば、地盤に万が一にもトラブルが生じた場合、家全体に影響があることから、地盤保障制度を活用しています。
地盤調査の流れについて説明します。
- 地盤調査は行わず、ハウスメーカーが外部の地盤調査会社に外注依頼
- 地盤調査会社の報告によって「地盤改良工事」の種類が決定
- 地盤改良工事の有無は、建物の着工前に施主側に伝えられる
ハウスメーカーによっては「地盤改良工事が必須」としている所もあり、この工事費用は「標準工事費用には含まない」としていると思われます。
地盤改良工事は必要なことなんでしょうか?
ボクが住む地域では、干拓地が多く地盤が軟弱なので、地盤改良工事をしてよかったと思っています。ただし、全国的に一律でこの考えが適用されるのもおかしい話です。
「注文住宅の値段」の中で、地盤改良工事が占める割合は大きいものがあります。見積もりを取る際には、ハウスメーカーごとの指定の地盤改良工事があるか⁈などを事前ヒアリングしましょう。
ボクの地域である大手メーカーが「住宅展示場の800万円程度でリユース販売する」というサービスがありました。土地を所有していたので応募を検討しましたが、その際、同社の社員に「地盤改良工事」の義務は?と尋ねたら…『当社の規定では鋼管杭方式です』と言われました。
地盤改良工事の中でも「鋼管杭方式」はコスト高ですので、住宅展示場を安く購入できたとしても全体のコストはかなりの金額になり、筆者は「応募を取り下げ」ました。
注文住宅の値段は構造・工法で異なる!
ハウスメーカーは、それぞれ家の構造や工法の特徴があります。
以下に、建築される場合の構造と工法の特徴を簡単にまとめました。
在来・木造軸組み工法
わが国で最も主流な工法。注文住宅全体の約8割が、この在来工法で建てられていると言われています。
工場で事前に木材をカットして現場で組み立てるのが特徴です。一般的には、低価格のローコスト住宅メーカーが採用していて、施工期間を短く人件費を安く抑えています。
ツーバイフォー・木造枠組み壁工法
柱や梁を使用せず「2×4インチのパネル(構造用合板)」を組み合わせて建てられます。「面(壁パネル)」で支えているため、耐震性に優れています。
ハウスメーカーには、在来工法とツーバイフォーを掛け合わせた工法で建てているメーカーもあります。
まとめ:注文住宅の値段は「予定額を超える」が多い!
上の写真は、筆者の会社で「最初の注文住宅を建てた」際のものです。投資用不動産(賃貸用)として、ローコスト住宅のメーカーで「注文住宅」を建てました。
このメーカーの場合、冒頭に書いた「標準工事費用方式」を採っていました。通常であれば、当初の見積金額から大きなコスト高になることはないのかもしれません。
ところが、いざ、工事が始まると“想定外”のことがいくつか起こりました。
- 水道管の本管の位置が住宅から離れていて、予想以上に水道工事がかかった
- 地盤改良工事のコストが予想よりも高かった
- (工事とは関係ないが)賃借人が決まるまでに時間がかかった
- 敷地内の駐車場で水道管敷設工事の際に陥没事故が起きた
ボクのように「投資用不動産」として注文住宅を建築する方は少ないと思いますが…。
投資用不動産だからこそ、全体のコスト管理をしっかりとやる必要性があり、最終的には外構工事をコンクリートからアスファルトに変更しました。
注文住宅は「自由な設計や間取り」などが“売り”なので、建築工事が始まった後に追加の費用が発生することが多々あります。不動産のプロである筆者の場合も、当初の予定価格をオーバーしました。
このようなこともあるので、注文住宅の計画をする際には、「ハウスメーカーのランキング情報」を参考にするのではなく、その土地に合うメーカーを知るためにも見積もりを依頼することが重要です。
そのためにも、お手額な見積もりサイトを活用するのが便利です。