2020年5月24日のフジテレビ『ワイドナショー』は、「黒川検事長が辞任…賭けマージャン」についての話題が取り上げられました。筆者は、新聞記者をやっていたので、取材対象者との付き合い方も含めて考えるところがあります。ダウンタウンの松本人志さんは番組の中で『記者たちが賭け麻雀をあっさり認めた。ひょっとして(黒川さんは)はめられた?』との見方も示しました。(トップ写真は「ワイドナショー」画面から転載)
とっくんは、元新聞記者ですね。黒川検事長が「新聞記者相手に賭け麻雀したこと」についてどう思いますか?
ボクは新聞記者をやっていました。地方新聞社だったので、記者クラブと取材対象者との付き合いがそこまで深くありませんでした。
だだし、ある事件を取材していた際には、警察関係者への「取材担当者への夜討ち朝駆け」をやったことがあります。
黒川さんの記者との付き合いは「司法記者クラブ関連」だとは思いますが、賭け麻雀はNGですが、日常でのこうした“関係”は不思議ではありませんね。
【ワイドナショー黒川氏賭け麻雀】松本さん『黒川さんはめられた』
『ワイドナショー』はここ最近は、新型コロナウイルス感染拡大からの自粛ムードなどをテーマが多いですね。
黒川検事長の「新聞記者との賭け麻雀」が、緊急事態宣言下の外出自粛の中で、それに反する“3密状態”を生み出す環境、しかも「賭け=違法」ということをやっていた。さらに、黒川氏の定年延長決定が、現在の国会で与野党の政局になっている…。
つまり、どこを斬っても新聞ネタ、ワイドショーネタになりそうな事件だと言えるでしょう。
(このブログでの「ワイドナショー」ネタは→コチラです)
ワイドナショー【黒川検事長が辞任…賭けマージャン▽夏の甲子園中止を発表】
黒川検事長が辞任…密を無視で賭けマージャン▽夏の甲子園が戦後初の中止…芸能人が高校生にかける言葉▽人気絶頂で終了…「鬼滅の刃」ロス▽松本がアイフォン裏技披露!
【MC】
東野幸治【コメンテーター】
松本人志(ダウンタウン)、神田愛花、カンニング竹山、中尾明慶【ワイドナ元サッカー日本代表】
前園真聖【ワイドナ弁護士】
犬塚浩【ワイドナ芸能リポーター】
駒井千佳子【ワイドナティーン】
正本レイラ【ワイドナ専門家】
井上裕介(NON STYLE)、滝沢秀一(マシンガンズ)
政局としての【黒川検事長をめぐる一連の出来事】をどう捉えるか⁈
今国会で見送られた「国家公務員法の改正」の抱き合わせでの「検察庁法の改正」議論は、与野党や国民の間で完全な“政局”になっていました。
論点を整理すると…
・現政権が自らの反発する検察を支配しようとするのでは⁈
大まかに言うと、このような「論理だて」で、一部の野党や安倍政権に批判的な人は主張しましました。
検察は、事件を起訴できる立場なので政治の介入を受けないようにするのがいいんじゃないでしょうか?
恐らく、政治の検察への介入というは『指揮権発動(検察庁法14条)』のことでしょう。つまり、法務大臣が検事総長に対して指揮権を使って介入することですが、長い歴史の中で、これが行われたのは1954年の「造船疑獄事件」だけです。
【指揮権発動の事例】
1954年(昭和29年)4月21日の造船疑獄において犬養健法務大臣が佐藤藤佐検事総長に対して重要法案審議中を理由に佐藤榮作自由党幹事長の収賄容疑の逮捕請求を無期限延期させて強制捜査から任意捜査への切り替えを命令した。 指揮権発動後に犬養健は法務大臣を辞任した。
(ウィキペディアから転載)
【黒川検事長が「訓告」で終わるならば…】~政権にはダメージが⁈
ちなみに現時点(2020年5月24日現在)での報道ベースの情報では、黒川さんの処分は「訓告」に留まっています。
起訴はおろか、逮捕取り調べもありますせん。
賭博をした者は、50万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。
検察内部もしくは法務省内部で、黒川さんの処分を決めて、それが「訓告」だったということですが、恐らくは刑法185条の条文の後半『一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまる』という解釈をしたのだと思います。
ちなみに、漫画家でタレントの蛭子能収さんが1998年、雀荘で賭け麻雀をした際には、逮捕されました。そして、蛭子さんは数カ月間、タレント活動を自粛しています。
ワイドナショーで松本さんが、『(今日の番組の専門家に)蛭子さんを呼んでほしかった…』と語ってましたね。ボクも蛭子さんのコメントを聞きたいです。
ワタシは、賭け麻雀をした黒川検事長が「訓告」だけで済ますのは許せません。政権に近いから処分が甘いんじゃないでしょうか?
確かに…、世間には黒川さんの処分が甘すぎる!という批判が多いですね。筆者もその意見は賛成です。
まとめ:【黒川検事長を「起訴」するため】~指揮権発動が必要か⁈
ここで、今後の動きを含めての議論を整理します。
今のところ、黒川さんは検察内部的な処分である「訓告」どまりです。これに納得できない国民が大多数で、もしも、黒川さんを「逮捕して起訴すべき」という議論になった場合…
②政権側が黒川さんの処分を「訓告」以上のものにする
③政権側が、指揮権発動で検察側に黒川さんを逮捕・起訴するよう指導する
政権側はこうした選択肢があります。現実的に③の指揮権発動はあり得ないとは思います。ただし、「政権と検察の力関係」を議論するならば、場合によっては『検察側の間違った判断を、政権側が正す仕組みでもあること』と理解しなければなりません。
指揮権発動と言えば、政権に有利なことばかりが行われるという想定だけでなく、検察の内部の論理を国民目線に近づけるという「指揮権」も存在すべきでしょう。
法務大臣は、第4条及び第6条に規定する検察官の事務に関し、検察官を一般に指揮監督することができる。但し、個々の事件の取調又は処分については、検事総長のみを指揮することができる。
今回の「ワイドナショーで取り上げられた検察庁ネタ」は、専門家目線ではなく、“感想”が中心でしたが、【ワイドナ弁護士】犬塚浩さんは刑法185条のことを元に説明していましたね。
今後も、黒川さんの「賭け麻雀」のネタは各ワイドショーで取り上げれることでしょう。しばらくはこのネタで盛り上がりそうです。