新しく新築住宅を手に入れたいと考えておられる方で『注文住宅で…』と決めている方へ。このような方たちは『注文住宅の相場』にかなり関心があると思います。
筆者は不動産業界に25年以上いますが、自社は建売新築住宅の仲介営業を担当しています。ただし、自身の住宅は「注文住宅」で建築しました。
今回の記事では、「注文住宅の相場」を、住宅に関する諸経費の価格、建築に関わる費用、値段、ご自身の予算などの観点から分かりやすく解説します。
注文住宅の価格の相場ってあるんでしょうか? 価格が高いハウスメーカーとか安いハウスメーカーとか?
皆さまが「家を建てる際」に、どのような手順でハウスメーカーを選択して、「どのような家を建てるか…」を考えてみましょう‼
注文住宅の相場を調べる前に「知っておくべきこと」は⁈
- どうやってハウスメーカーを選ぶか? 住宅展示場orカタログor口コミorコマーシャル
- 家を建てる土地を既に見つけているか? 土地を持っているか?
- 家の建築の構造にこだわりがあるか?
- 家の外観、間取りなどに自分なりの強い希望や考えがあるか?
注文住宅の相場は、さまざまな要因が重なって「価格」が決まります。注文住宅の相場を比較したい場合は、家の構造別の大まかな価格を調べることから始めたらいいと思います。そのために必要なことがあります。
注文住宅の相場を知るために必要な事は⁈
いきなり「結論」から書きます。
注文住宅の相場を知るためには、複数のハウスメーカーに無料見積もりを依頼することです。すべてがココから始まります!
筆者は、ネットで簡単な記入で「600社を超えるハウスメーカー」の見積もり無料請求ができるサイトを利用しています。
注文住宅の相場を知るのに、ハウスメーカーに見積もりを依頼するのは抵抗がありますが…。
確かにそうかもしれませんが、確実な「相場」を知るためには、この方法が最も効率的なのです。その理由をこれから説明していきます。
注文住宅の相場を知る方法「無料見積もりサイト」活用!
無料の見積もりサイトとはいえ、自らの「個人情報」を入力することに抵抗を感じる方がおられるかと思います。また、見積もりを依頼したことで、ハウスメーカーの営業マンから、しつこい電話がかかってくる⁈と心配する方もおられるかと思います。
注文住宅は、建てる方の状況によって「価格」が変わってくるので、ハウスメーカー側が最低限の情報を知っておく必要があります。サイトで見積もりでなくても、皆さまが住宅展示場を見学して連絡先を聞いても、ハウスメーカーの営業マンからの電話はかかってきます。
結局は、営業が来るのはどの道、同じことです。
無料一括見積もりサイトで入力する「家の希望」情報は⁈
ここで、実際の「見積もり依頼サイト」で入力をしなければならない項目を書いてみます。主に、以下のような情報を入力する必要があります。
- エリア(住宅を建築したい場所)
- 希望世帯(一世帯住宅、二世帯住宅、店舗併用住宅)
- 家の階数の希望(平屋、2階建て、3階建て)
- 家族構成(大人の数、子どもの数、お年寄りの数)
- 希望する間取り
- 土地の大きさ(すでに所有している場合)
- 土地の希望(これから土地を購入する場合)
- 敷地法令調査の希望(※住宅を建築する際に必要な調査のため)
- 資金計画の有無・状況(※住宅ローンの事前審査等)
最低限、以上のような「情報」を入力します。
無料一括見積もりサイトで入力する「個人情報」は⁈
家に関する「希望」などの情報を入力した後は、次に、皆さまの「個人情報」を入力します。
- 氏名
- 連絡先(住所)
- 世帯年収
- 勤続年数
サイトによっては「勤務先」などを求めるところがありますが、筆者が紹介したサイトはそのようなことがありません。
注文住宅の相場は、質問サイトよりも見積もり重視で!
注文住宅の相場を知るために、ネットの「質問」サイトを利用する方がおられるかもしれません。しかしながら、質問サイトについては「無駄」であると申し上げます。
ネットの質問サイトは無駄なんでしょうか?
質問サイトでは、質問者が具体的な情報を記載しているわけではないし、一般的に、家を建てる土地の状況なども明らかにしていません。質問に答える方もプロでない方が多いので、情報の不確かさがかなりあります。
筆者も仕事柄、お客様のニーズを把握するために、質問サイトを参考にすることがあります。しかしながら、この話題「注文住宅の相場」に関しては、質問サイトの情報はあまりにも不確実なのでおすすめできません。
注文住宅の相場は、家の構造・工法で費用が異なる!
無料見積もり一括サイトで必要な情報を入力したら、ハウスメーカー側から「見積もり」が出されるかと思います。
見積もりには、その家の構造や構造などが詳しく書かれています。そこで、家の構造や工法について簡単に説明します。
以下に、一般に「住宅」として建築される場合の構造と工法の特徴を簡単にまとめました。それぞれの費用が異なりますので、参考にしてください。
在来・木造軸組み工法
わが国で最も主流な工法です。注文住宅全体の約8割が、この在来工法で建てられているとされています。建築の費用は安いのが特徴です。
以前は、耐震、耐火性能に不安があるとされていましたが、平成12年に「建築基準」が大きく改訂されて、現在の木造住宅の強度はかなり向上しました。
「プレカット」と呼ばれる機械加工、工場で事前に木材をカットして現場で組み立てるのが主流で、工務店などの現場作業が簡素化されています。注文住宅の中には「複雑な間取り」のためにプレカットが対応できないこともあり、こうしたことで「価格が上がる」場合があります。
一般的には、低価格のローコスト住宅は木造軸組工法がほとんどで、施工期間を短くして人件費なども抑えています。
ツーバイフォー・木造枠組み壁工法
ツーバイフォー工法は、北米から輸入されてきた工法です。
木造軸組みの在来工法と違い、柱や梁を使用せず「2×4インチのパネル(構造用合板)」を組み合わせて建てられます。
家全体が「面(壁パネル)」で支えているため、耐震性に優れているとされています。合板を釘で固定する工法のため、工期が短いことが特徴です。建築費用も比較的安いです。
ハウスメーカーの中には、在来工法とツーバイフォーを掛け合わせた工法で建てているメーカーもあります。
壁によって、全体の強度を保っていることから、広々とした空間を確保することや間取りの自由度に制限があります。
軽量鉄骨・重量鉄骨造
一般住宅だけでなく、店舗付き住宅などで用いられる「鉄骨工法」です。費用的には木造よりもやや高めです。
軽量鉄骨造
金属製の部材で建物を支える工法。工業製品のように大量生産を目的に開発されたもので、大手のハウスメーカーが軽量鉄骨造を採用しています。
耐震・耐火の強度は有利ですが、各社で独自の工法をしていることから、リフォームを他社で行うことが難しいという特徴があります。
重量鉄骨造
マンションや高層ビルなどを建てるのと同じ構法です。広々とした空間をつくるのに適しています。耐震・耐火の強度が非常に高く、長持ちするのが特徴です。
RC・鉄筋コンクリート造
RC工法は、鉄筋で組まれた骨組に、コンクリートを流し込んで固める工法です。これまで紹介した工法の中では「価格相場」が最も高く、コンクリートを固める期間が必要なので工期に時間がかかります。
注文住宅の相場は、顧客層の「予算」で決まる!
ハウスメーカーはそれぞれ「工法や構造」によって価格相場が異なります。
これらは、材料費や施工費(主に建築人件費)に加えて、営業活動費(広告宣伝費、会社内の人件費)のトータルコストを考えて、価格設定をしています。
ハウスメーカーにもランクがあるんですか?
車で言えば、ファミリータイプの車と高級車とは価格が違いますね。住宅もこれと同じで、ハウスメーカーは販売対象とする顧客層の違いがあるのです。
このような「顧客層の違い」は、顧客側の『住宅建築にかける予算額』によって異なってきます。多くの人が住宅を建てる際には「住宅ローン」を活用します。
住宅ローンは申込者の「審査」があります。住宅ローンについては、これまでこのサイトでも何度か記事にしていますので、以下の記事を参照ください。
注文住宅の場合は、住宅ローンの審査が通ることを前提でないと請負契約を締結できません。
土地を持たない方が「土地を購入して建物を建築する」場合は、「土地取得の住宅ローンと建物建築分の住宅ローン」の2つに分ける場合が多いです。建売住宅を購入するよりも手続きが複雑です。
注文住宅の相場を決めるさまざまな「価格」とは⁈
注文住宅を建てる際にハウスメーカーとの「価格トラブル」が起きることがあります。悪質なハウスメーカーがいる場合もありますが、それらのトラブルには、購入者側の理解不足が原因となることがあります。
ハウスメーカーと購入者の間に起きるトラブルで何が一番多いでしょうか?
不動産業者の“肌感覚”としては…、購入者とハウスメーカーのトラブルの多くは『工期に関するもの』が最も多いように思います。このほか、当初の見積金額よりも実際のお金がかった—という購入者側の不満を聞くこともありますね。
注文住宅の建築コストは、当初の見積もりでは想定できないような“突発的な事案”が生じることがあります。
注文住宅のハウスメーカーは顧客と何度も打ち合わせをします。顧客の不満やトラブルは、会社の信用に傷をつけるため、営業マンはできるだけ「トラブルが起きないよう」に気を付けています。とは言え、人間同士がやることですので、互いの理解不足などで相手のことを信用できなくなることもあるでしょう。
一般的に注文住宅の価格に含まれないもの(※会社によって異なります)の代表例は以下のとおり。
- 整地費用
- 解体費用(土地に古家等が建っている場合)
- 地盤改良工事(地盤が軟弱な土地の場合)
- 給排水引き込み工事
- 外構工事(建物完成後)
- インテリア費用
- 準防火地域における建物工事費用
このほかにも、注文住宅で建築途中での購入者側からの「プラン変更や追加」などによって、工期がずれ込んだり、それに伴う費用が増えたりすることがあります。
追加の費用などが増えた場合、住宅ローン以外での資金調達の必要性が出てくる場合があります。
筆者が注文住宅を建てたケースでも、建物解体や地盤改良などをやったので、それらを説明した記事も参考にしてください。
家を建てる際には、ハウスメーカーの「見積もり」以外で生じるコストにも注目しなければなりません。
筆者のケースでは、実際に建てた注文住宅の「地盤改良」工事では、A社の指定の工事とB社の指定の工事とでは「費用が2倍近くの差」がありました。軟弱地盤の地域では、ハウスメーカー指定の地盤改良をすることを購入者に求めるために、注文住宅の実際の金額が大きく変わることがあります。
まとめ:注文住宅の相場は「建築事例」からの判断を!
「注文住宅を建てる」ことは、建売住宅を購入するのと違い、『ゼロから家を作る』ことを意味します。
ハウスメーカーとの最初の出会いから住宅の完成・引渡しまでは短くても数カ月、長ければ1年以上もの付き合いをすることがあります。特に、土地購入から、そのハウスメーカーに依頼する際には密接な関係性を築くことが、購入者の利益につながります。
ハウスメーカーとの関係の始まりは「購入者自身が注文住宅を建てたい」という意思表示をすることです。そうした意味でも、複数のハウスメーカーに無料見積もりを依頼するのは有益です。
注文住宅は、地域ごとに「その地域に強いハウスメーカー」があるため、お手額な見積もりサイトを活用するのが便利です。