不動産投資をする方は、住宅の性能を知る必要があります。その中でも各種の法律で基準が定められています。今回の記事では「地盤調査、地盤改良」について、住宅建築の際の標準になったきっかけとなる『住宅瑕疵担保履行法』を考えてみたいと思います。(トップ写真は、筆者の会社の住宅展示場の建築時の地盤改良工事から)
とっくん社長、建物というのは建築された年代によって、品質に差があるんですか?
品質の差はありますね。建物の建築技術は年々進化しています。技術的な進歩もありますが、そうした歩を後押ししているのは「法律によって品質を求める」流れができたからということです。
2009年「住宅瑕疵担保履行法」施行で住宅の品質が向上【決定的】
建築物が長きにわたって安全安心を保つためには、建物本体だけでなく「地盤」を含めた一定の品質が求められます。
そのキッカケは、2009年10月に施行された「住宅瑕疵担保履行法」です。これにより、地盤調査及び地盤改良が新築住宅建築の必須項目になりました。(上記の図は国土交通省サイトから転載)
新築住宅の瑕疵担保責任の履行を確保することを目的とした法律。正式名「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」と言う。
建設業者及び宅地建物取引業者が負う瑕疵担保責任の履行の規定を定めている。主な規定は次のとおり。
(1)保証金の供託又は住宅瑕疵担保責任保険による資力の確保
(2)保険を引き受ける住宅瑕疵担保責任保険法人の指定
(3)住宅瑕疵担保責任保険契約に係る紛争を処理するための体制の整備
但し、宅地建物取引業者が瑕疵担保責任を負うのは、住宅の売り主となる場合である。
2000年4月「住宅の品質確保の促進等に関する法律」がキッカケ‼
戸建住宅における地盤調査実施が急激に増えたのは、2000年4月施行の『住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)』がきっかけです。
この法律では基礎、柱、屋根など主要構造部分に10年間の瑕疵担保責任(修補請求権)を義務付けました。この法律以降、施主(発注者)と建築会社との間に構造部分の免責特約を設けることができなくなりました。
このころから「住宅保証制度」が普及し始め、保証の条件として『地盤の確認を要求したこと』が地盤調査増加の要因となったようです。
【地盤調査と地盤改良とは⁈】~調査の結果で地盤改良を‼
これは、一般の方にはあまりなじみがないかもしれません。筆者が住む地域は、全体的に地盤が軟弱なので「地盤改良工事」が一般的です。
過去記事では、筆者の「住宅展示場」の建築時の地盤改良工事を含めた詳しい説明をしています。
筆者の住宅展示場兼事務所の場合は、ローコスト住宅の「規格注文住宅」でしたが、そのハウスメーカー指定した「スウェーデン式サウンディング試験」で地盤調査をしました。
荷重による貫入と回転貫入を用いた試験方法。この試験方法により、土層の構成を把握することが可能となる。
ロッドを埋め込み、5kg、15kg、25kg…と最大100kgまで負荷をかけて、規定の深さまでロッドをねじ込んでいく。地層が固く、ハンドルを回してもなかなか地中深くまで入らない場合は測定を終了。
この方法は、装置の操作が容易で迅速に測定ができ、現在最もポピュラーな地盤調査法で住宅建築の地盤調査では、約80%がスウェーデン式サウンディング試験で調査している。
実際に「地盤調査」の結果が出たら、地質の特性や地下の支持層がどのくらいの深さにあるか、などを確認の上、地盤改良法を決定します。
表層改良工法
表層改良工法は、セメントを使用して地表周辺を固める地盤改良工事のこと。地盤の軟弱な部分が地表から2mまでの浅い場合に用いられる工法です。表層部の軟弱地盤部分を掘削し、セメント系固化材を土に混ぜて十分に締固めて強度を高めます。
柱状改良工法
柱状改良工法は円柱状に地盤を固めた改良杭によって建物を支える地盤改良工事のことで、軟弱地盤の深さが地中2~8mの場合に用いられる工法です。地中に直径60cmほどの穴をあけ、良好な地盤まで掘ります。地盤を掘る過程で水を混ぜたセメントを注入して土と混ぜてかくはんし、円柱状の固い地盤を築くことで強化する仕組みです。
筆者の「住宅展示場」はいずれもこれで地盤改良をしました。
小口径鋼管杭工法
小口径鋼管杭工法は、鋼管で地中から建物を支える地盤改良工事のことで、地中30mまでの地盤補強が可能。地中深くにある固い地盤に鋼管の杭を打って、建物を安定させます。
小口径鋼管杭工法は狭小な土地など、重機を搬入しにくい場所での工事にも適しています。
環境パイル工法
環境パイル工法は、木で家を支える「地盤改良」のひとつで「蟻食いしない」「腐らない」ように処理を行った材料を使用する。全国で20,000棟以上の実績がある第三者認定工法です。
まとめ:【中古物件を購入する】住宅瑕疵担保履行法の“基準”を‼
住宅瑕疵担保履行法の適用範囲は「賃貸住宅」も含まれます。住宅を「中古の段階で販売する」際には、同法の定用範囲ではなくなりますが、それでも住宅の新築時においては、住宅瑕疵担保履行法の対象となります。
つまり、同法による基準をクリアした住宅の品質が担保されている証拠になります。筆者の感覚では、2009年もしくは2000年以前に建築された住宅と、以後に建築された住宅とでは、品質の差が明らかであると思っています。
投資用不動産も、長い期間で「資産」としての活用をするものです。そうした際に、住宅の品質は重要な要素と言えるでしょう。
筆者が現在、実践している「不動産投資」が、ファミリー層をターゲットにローコスト住宅を賃貸市場に出すというものは、不動産の品質の上でも、法律の制度による「安心の担保がある」と考えているからです。
特に、これから不動産投資をやりたいという方は、出口(=転売)のことも想定した市場で闘う方がよいと思っています。筆者の場合は、ローコスト住宅にその活路を見いだしました。そのキッカケとなったのが「一建設㈱の不動産投資セミナー」でした。
本日も、ブログ記事を最後までお読みいただき心より感謝しております。今後は、その他の法律の基準なども交えて、住宅、建物の構造や安全性などを説明していきます。